表立って載せるほどではない小噺と、あとがき。 その他キャラ設定などなど、徒然なるままに書き連ねるページ。 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
    --:-- | Top

覆面作家企画7にまつわる小話

感想も完走できなかったのに申し訳ないけど、書くよ!
私はこれが書きたいがために、今回の話を書いたといっても過言ではないのだ!

**
 世の中の大半のことは、私にとってどうでもいいことだ。
 大切なのは、あの人のことだけ。

 その少年を見かけたのは、勤め先の私立図書館でのことだった。ソファーに腰掛けて、所在なさげにしている姿。
 ああ、そういえば、館長の知り合いが来るって言ってたっけ。見かけたら気にしてあげて、と言われていた。
 近づくと、声をかける。
「お隣、よろしいですか?」
「……誰?」
「図書館のお姉さんです」
 名乗るほど、親しくするつもりはない。
 他の話をするつもりもない。
 私がするのはただ、図書館の職員としての行動。
「お時間があるなら、少し朗読に付き合っていただけますか?」
 返事は待たずに読み始める。
 今日、入ってきたばかりの本。たまたま手元に持っていた『黒猫マオちゃんとおじいさん』。
「あるところに、おじいさんが一人、住んでいました。そのおじいさんは、ひとりで寂しく暮らしていました」
 読み終わるころには、最初興味なさそうだった少年が、身をのりだして聞いていた。
 誰かを物語の世界に引きずりこむ。この瞬間は、嫌いではない。

 その後、少年は頻繁に図書館にきていたので相手をしていた。
 あの子と話をするのは、嫌いではなかった。
 あの子は余計なことを言わなかったから。
 だけど、
「顔、触っても良い?」
 言われた瞬間に、ああ、来てしまったか、と思った。
 目が見えないこの少年は、一体だれからそのことを聞いたのだろう。
 顔の、やけどの痕を触らせながら思う。
 どうして人は、他人のことに首をつっこむのだろう。
 放っておいてくれればいいのに。
 どうせあの、口うるさいババアどもだろう。ああもう、本当、この職場いやだ。
 やめちゃおうかな。

 顔の火傷が、あの人につけられたものだと知ると、周りの人は口々に「そんな男はやめろ」だの「別れなさい」だの、言う。
 何もわかっていないくせに、偉そうに。
 ……まあ、わからせないようにしているのは私だけど。

 みんな、勘違いしている。
 私はそれを、あえて訂正していない。
 まず、あの人は恋人などではない。
 私たちの関係は、そんなありきたりのものではない。
 それに、あの人の性別も違う。
 それから、確かにこの火傷はあの人がつけたものだが、悪意があったわけではない。半分は事故だ。
 そして、それを利用しているのは、私の方だ。
 あの人が私から離れないように、気に病ませて、ひきつけている。

 本当もうあの図書館やめよう、と決意しながら自宅に戻った。
 すっかり、逃げ癖がついた私は職を転々としている。
 玄関を開けると、珍しくあの人の靴があった。
「ただいまー」
「おかえりー」
 いい匂い。
「ご飯、作ってくれたの?」
「うん、カレーだけどね。昨日まで遅くて、迷惑かけちゃってたからー」
「別にいいのに。仕事、ひと段落したの?」
「うん、遅れてたやつ、なんとか申請まで持って行けたから」
「そっか」
 私は微笑んだ。
「おかえり、理沙」
 あの人が言うから、私も答える。

「ただいま、友ちゃん」

 **

だからクロスオーバーが好きって、言ったじゃないですかー。

あ、友ちゃんの仕事はアプリのコンテンツプロデューサーで、おまじないアプリ「マダム・リーの館」の担当者です(ニッチな話題)
 
Comment
 
 






(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
 
Trackback
 
 
http://dfreedom.blog6.fc2.com/tb.php/267-c341a524
 
 
プロフィール
 
 

小高まあな

Author:小高まあな
FC2ブログへようこそ!

 
 
最新記事
 
 
 
 
カテゴリ
 
 
 
 
月別アーカイブ
 
 
 
 
リンク
 
 
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。