表立って載せるほどではない小噺と、あとがき。 その他キャラ設定などなど、徒然なるままに書き連ねるページ。 

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甘い罠

フリーワンライ企画参加作品

お題
気付くまで待つよ
終わりの前に
茶色
ココアはきっと甘いだろうよ

時間60分
**

 1月も終わりに近づくと、テレビでチョコの特集が増えていく。そう、バレンタインっていうやつだ。
「この茶色のあれは、美味しいのかね」
 小さな画面を見ながら、ミザリーが呟いた。
「甘いからなー」
 答えなんだかよくわからんものを俺は返した。
 試験も無事切り抜け、大学は晴れて春休みだ。バイトのない日は大体、家でごろごろしている。
 春休みは帰ってくるの? 母親からのメールに、「いま猫飼ってるからむりかも」と適当に返事を打つ。
「ふーむ、食べてみたい!」
 ミザリーがあぐらをかいた俺の膝の上に飛び乗ると、はしゃいだ声をあげた。
「チョコは猫には毒なんだぞ」
 メールを送信。
「猫じゃない!」
「猫だろうが」
 もう何度目なのかわからないやりとり。
 シャーっと威嚇してくる黒猫、ミザリー。どこからどうみてもただの喋る黒猫の彼女。いや、まあ、喋るって段階で「ただの」ではないんだが。そんな彼女は、自称地球を亡ぼしにきた恐怖の大魔王だという。
 いや、本当、どっからどうみても、ただの黒猫なんだけどさ。
 それが嘘か本当かは知らんが、懐かれてしまった俺はなし崩し的に家においているのであった。
「お前がいくらら猫じゃないと言い張っても、その体は猫なんだぞ」
「身体構造が猫のままじゃない!」
「でも猫じゃん」
「猫じゃない!」
 いや、本人が大丈夫だっていうなら、チョコぐらい与えてもいいのだが。なんとなく面白くなって拒否してみる。
「地球を亡ぼす前に食べたい!」
「なんだよ、その、最期の願い的なやつは」
 つーか、亡ぼすのお前だろ。じゃあ、やめとけよ。
 むーっと睨まれる。緑色の瞳。
 ミザリーは考えるように俯いていたが、
「……はるまげどん」
 ぼそりと呟いた。
「……地球の滅亡を盾にとって、脅すのはやめようか、ミザリー」
 こいつが本当に地球を亡ぼすことができるのかどうかは知らないが、試してみる気は流石にないぞ、俺も。
「しかし、チョコなんて家にないしな」
「買ってくればいいじゃないか!」
「やだよ、寒いもん」
 暖房器具のない我が家でも、外よりは温かい。
「この横着者!」
「知ってる」
 言いながら、ミザリーを抱える。やはり、猫。温かい。
 にゃーにゃー言っているミザリーを抱えていると、
「あ、そうだ」
 一つ思い出した。
 ミザリーを抱えたまま台所に向かう。
「なんだ、実はあったか?」
「んー、いやさ」
 がさがさと棚を漁ると、
「あ、あった」
 ココアの粉が出て来た。未開封。前に大学の購買のくじであたったのだ。いざというときの非常食にしようと思っていてとっていたやつ。
 賞味期限を見ると、一応まだ来てなかった。
「チョコか!」
「ココア」
「違うのか……」
「大体一緒だから大丈夫」
 甘いしな。カカオだしな。
 お湯を沸かして粉を溶く。
「熱いのは駄目だぞ!」
「猫舌だもんな」
「猫じゃない!」
 ちょっとさましたそれを、皿にいれてミザリーに与えた。
 おそるおそるそれをなめ、
「ん!」
 ぴんっと耳をたてて、
「美味しい!」
 心底嬉しそうに言った。
「それはよかったな」
 自分の分もついでに作り、一口。うん、甘い。甘いものはあまり好きではないのだが。
 しかし、俺もミザリーには甘いな。このココアに負けず劣らず。
 そんな風にも思って、皮肉っぽく唇を歪めた。
 テレビは相変わらずバレンタイン特集を繰り広げている。
 一心不乱にココアを飲んでいるミザリーをみていると、まあ14日にチョコを買って来てやってもいいかなーという気持ちになってくるから困る。
 バレンタインには、チョコと一緒に好意を伝えるという。その文化をこの自称恐怖の大魔王がどう思っているかは知らないが、まあ、そういうことなのだ。
「甘いな!」
「それはよかったな」
 にゃんっと猫っぽく、嬉しそうに鳴いたミザリーの頭を撫でると、嬉しそうに目を細めた。
 まあ、とりあえず、今はそういうことで。
 
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