表立って載せるほどではない小噺と、あとがき。 その他キャラ設定などなど、徒然なるままに書き連ねるページ。 

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10/お仕事見学(桜子→麗華)

「猫、可愛かったんです」
 そう言って笑う後輩を、好ましく思う。
 年に数回しか着ない、制服の裾をひらひらと躍らせながら後輩は歩く。
 自分はというと、滅多に着ないスカートなんて着ているものだから違和感を感じてしょうがない。
「委員長は猫、好きですか?」
 そう聞かれて、少し悩む。知り合いの探偵同好会の彼ならば間違いなく「三毛猫ホームズならば!」と答えるところだろう。それとも、あれをミステリとは認めないかもしれない。
「それとも、犬派?」
 更に質問を付け足される。
「どうかしら? ……小鳥は、好きね」
 質問とはずれた答えを返しても、後輩は特に気にした様子を見せずに、
「小鳥。小鳥も可愛いですねー」
 なんて言っている。
 そんなことを言っていたら、目的地はもう目の前で、知らず知らずのうちに、設楽桜子はぴんっと背筋を伸ばしていた。



 裁判の傍聴に行く。
 桜子はそれが好きだった。
 いつか自分もあの場所に立つのだと、ずっと心に決めていた。
 そして今日は(時には学校をさぼってまで)ずっと追いかけていた事件の判決日なのだ。
 少し、気合が入る。
 他愛も無い、と言ってしまったら被害者に失礼だが、何処にでもある窃盗事件。前科二犯。執行猶予中の出来事。
 この事件を傍聴しようと思ったのは、新聞記者である父親が「立ち直る犯罪者」と言ったような内容でコラムをかいていたときに、この被告からもインタビューをとったからだ。
「ええ、反省しています。被害者には本当に悪いことを」
 反省なんてしていなかった。そのインタビューの三日後に、今回の事件を起こした。「見破れなかった」と父親がひそかにしょげていたのを彼女は知っている。
 女子高校生らしく、ある程度は父親のことを煙たく思っている。それでも、仕事に誇りを持っている父親を尊敬している。だからこそ、許せなかった。


 そしてもうひとつ、
 ぴんっと背筋を伸ばして座っている、女検事を見る。
 あの女検事に惚れたからだ。
 あれこそ、設楽桜子が望んでいる女性像だった。
 だから、彼女は、初公判から今日までずっと、この事件を追いかけていた。


「実際の法廷を勉強することも大切です」
 検事委員会の後輩にはそう言ってある。
 もっとも、その後輩 古田朝陽は先ほどから眠そうな顔をしているが。


 女検事の横顔を見る。
 いつか並んでやる、と強く思った。
    23:38 | Top
 
 
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