表立って載せるほどではない小噺と、あとがき。 その他キャラ設定などなど、徒然なるままに書き連ねるページ。 

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05/夏の幻(三浦→京介)

 所謂、霊感という奴なのかもしれない。
 そう思い始めたのはここ数年で、
「……。」
 東京に引っ越した友人に会いに来た帰り道、公園で話し合う男女を見た。
 が、
「……。」
 なんというか、多分、この自分の感覚を信じる限り男の方は人間じゃない。
 じっとみたら失礼になるよなぁと思っても、気になってゆっくりと横目で見ながらそこを通り過ぎる。多分、人間じゃない気がする。
 てくてくと、駅の方へ向かって歩きながらそう思う。

 小さいころから、
「今ね、あのおねーちゃんと遊んでたんだ」
「って、どこのおねーちゃん?誰も居ないじゃない」
 なんていう会話を繰り広げていたりもした。
 自分にとってはそれが普通だからあまり気にしなかったけれども、もしかしたら霊感という奴なのかもしれない。
 ただ、全部が全部見えるわけじゃなくて、誰かと接している幽霊しか見えない。
 気になって少し調べてみたところによると、幽霊っていうのは認知されるとその存在感を多少増すらしい。だから、ものすごい霊感とかがあるわけじゃなくて、普通の人よりもちょっと強いぐらいなんだろうなぁ、と思う。
 そんな取り留めの無いことを考える。
 あの女の人は、やっぱり彼が見えたんだろう。
 何の話をしていたんだろうか?
 陰陽師みたいなもの?
 自分の能力を活かせるというのは、とてもかっこいいことだと最近思う。
 自分には何が出来るだろうか?
 少なくとも、この能力なんていかせない。
 だからって何が出来るだろうか?
 サッカーだってちょっと高校の部活レベルで上の方にいるぐらいで、それで喰っていこうなんて思えない。
そんな度胸は自分には無い。
 何をしたらいいんだろうか。

「っと」
「あ、すみません」
 そんなことを思いながら歩いていたから、注意力が散漫になっていた。
 前から来た人にぶつかりそうになった。
「大丈夫大丈夫。真剣な顔をして、悩み事か、少年」
 その男の人は軽いノリでそう言った。
「はぁ、まぁ」
「悩め悩め、若いっていうのはいいことだなぁ」
 その人はははははと笑う。
 若いって言ったって、この人だって多分まだ20代。十分に若いんじゃないだろうか、と思う。もしくは、青い。
 それが顔に出たのだろうか。
 その人はにやりと笑った。
「少年、俺が君ぐらいの年だったときはな、日本は戦争で貧困に喘いでたんだぞ。こんな平和の世の中で、悩めるっていうことは贅沢なんだ」
 そういってもう一度笑うと、そのまま歩いていった。
 ……戦争って、明らかにあの人は20代。いっていても、30代前半。
 何を言っているのだろうか?
 今日は変な人に会うなぁ、と思う。

 ブルルル
 ポケットのケータイが振るえる。
 着信:甲斐上総。
「はい」
『はぁい、三浦殿〜?』
「甲斐さん、どうしました?」
『春ちゃんがね、新しいケーキ作ったからどうかって。今どこにいるの〜?』
「あー、今、東京なんですけど。自由が丘」
『はぁ? なんでそんなおしゃれなところにいるの。マジずるいんだけど』
 甲斐さんの声の更に向こうで、
『おしゃれなとこってどこー?』という長門さんの声も聞こえる。
『自由が丘だって。えー、じゃぁ、すぐには来れない?』
「そうですね。すみません」
『むぅ、まぁ自由が丘だもんね、優雅だもんね』
「中学の友人に会いに来ただけですよ。他に何を見たわけでもない」
『でも、雑貨屋さん見たいー、よし、今度案内してよ』
「え、甲斐さん?僕だってそんな詳しいわけじゃ」
『まぁまぁ、そういわずに。とりあえずさ、ケーキとって置くから来れたらおいでよ。ね、じゃぁね』
 そういって電話は一方的に切れた。
 そんな無茶苦茶な、と思いながらも、その電話に誘われるかのように、自分の足は自然に速くなっていた。


 暑い日は思考には向かない。
 可能ならば早く向こうにもどって、あの居心地のいい喫茶店で珈琲とケーキを楽しもう。
 そう思うと、自然に口元がほころんだ。
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