表立って載せるほどではない小噺と、あとがき。 その他キャラ設定などなど、徒然なるままに書き連ねるページ。 

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地獄の沙汰も金次第


 この世の中で何が一番大事かといわれたら彼は迷わずにこう答えるだろう。
「甘いもの!」
 そして、それを突き詰めていくならばそれを購入するための資金だと。

 そんなわけで、神坂英輔は今日も資金集めに励んでいた。かつて、彼らを人間から人ならざるものに変えた研究所の下で。
 もっとも彼は、彼らに服従した気なんて毛頭なく、ただその仕事が一番効率よくお金が稼げるというだけだが。
 彼の仲間の一人は、研究所のことを思いっきり軽蔑していたが、英輔はそこまで軽蔑しているわけじゃない。
「だって、こうなっちゃったもんはしょうがないし、それに自分達に手を加えた人間は生きてないわけだし、そして、」
 英輔はにっこりと無邪気な笑みを浮かべて言うのだ。
「こうやって長生きできる方が好きなものを食べ放題ってわけじゃん?」

「神坂さんは、私たちのことをどう思っていらっしゃるのですか?」
 仕事が終わった後、近くを通った知り合いの女の子を強引に連れて入った喫茶店で、その女の子はそう尋ねて来た。
「何? ぶっちゃけていいの?」
「はい」
 英輔は値段も大きさもビッグなパフェにぐさぐさスプーンをつきたてながら答えた。
「いい金づる」
「……。」
 女の子はなんともいえない顔をした。
「それ以外には何も。隆二のやつとかはさ、過去のしがらみにまだしがみついてるけど、俺は別にそんな。あいつは好きな人間の女とか作っちゃうから自分が死ねないことを悔やんでいるみたいだけど、俺はそんな馬鹿な真似しないし、もし仮に俺が死にたくなるとしたらその時は」
 スプーンに沢山の生クリームをのせて、それを見ながら言った。
「甘いものがなくなるときかも」
 やっぱり女の子はなんともいえない顔をした。
「エミリちゃんはどう思っているわけ? 俺らのこと」
「え」
 話をふると女の子は首をかしげた。
 それから持っている紅茶のカップに目を落とし、
「申し訳ないことをしたなぁ、と」
「いや、だから全然別に申し訳なくないって」
 英輔がそういうと、女の子は顔をあげて真顔で言い切った。
「神坂さんに対してはあんまりそう思っていませんから、ご心配なく」
「あ、そう?」
「主に神山さんに対してですので。あの人は、本当に怖い」
 女の子のその台詞に英輔は頷いた。
「あいつ、切れるとやばいもんね。特に女絡みで」
「ある意味神坂さんも怖いんですが」
「え、なんで」
 露骨に傷ついた顔をしてみせる。
「甘いもののためならばなんでもするから、ですよ。私がこんなこと言える立場じゃないとは思うんですが、そういうの時々少し怖いです。神山さんはまだ理屈でどうにかなりますけど、神坂さんはだって……」
「スィーツが一番!」
「……ですから。そこに理屈なんて存在しない」
 そこで初めて女の子は笑った。
「うん、でもね、エミリちゃん」
 すっかり空になったパフェを見ながら英輔は言った。
「お金があるのに越したことはないって。地獄の沙汰も金次第だし、お金さえあれば地獄のスィーツも食べれるかも」
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