表立って載せるほどではない小噺と、あとがき。 その他キャラ設定などなど、徒然なるままに書き連ねるページ。 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
    --:-- | Top

短冊作って祈っておけ

『ねぇ、どうして織姫と彦星は自分達で動こうとしないの?』
「……はぁ?」
 突然、真面目な顔をして居候猫が呟いた言葉に隆二は眉をひそめた。
「なんだって?」
『だからぁっ!』
 自分の意志が上手く伝わらないことが悔しいのか、ぷぅっとほっぺたを膨らませながらマオが怒鳴るようにして言う。
『織姫と彦星っ! わかる!?』
「……ああ、仕事さぼって恋愛に現を抜かしているから、ちったは仕事をしろこのあほんだらって引き離されて間には深い川があって渡れないけど、一年に一度七夕の夜にだけは会えるっていうあれだろ? いっつも思うんだが、久しぶりの逢い引きに夢中な連中に、なんで願い事するんだ? 叶えてくれるわけ無いのになぁ」
『そう、それっ! なんか違う気がするけど』
「で、それがどうした?」
『だからぁ、どうして織姫と彦星は自分で動こうとしないの? 一年に一度だけで満足するの? 本当にお互いのことが好きならば、努力すればいいじゃない。何にもしないで一年を待つのはなんで?』
 一気に言い切られた。頬を紅潮させていうマオに、隆二は正直当方にくれる。そんなこと、知ったこっちゃない。
「星の寿命は長い。俺たちの1年と、人間の1年が違うように、星の1年も違うんだろうよ」
『違う』
 とりあえず妥協案を提出してみても、マオはすぐに首を横に振る。
『確かに星の寿命が無くても、それは永遠じゃないし、あたしは……、嫌だもの』
「何が?」
 マオは睨むようにして隆二を見ると、
『1日でも隆二がいないのとか、そういうの嫌だもん』
 不覚にも、ちょっと驚いた。
 そういう意味ではないのはよくわかっているし、自分自身もマオがいないとつまらないだろうなぁとは思うのだが、改めてそうやって言葉にされるとは思っていなかった。
「……そうか、そうだよな」
 曖昧に頷く。何がそうだよな、だ。とは自分でも思うけど。
「一つだけ確かなことは、だな」
 頬を紅潮させて、ふくらませて、睨むようにこちらを見てくるマオに、出来る限りの笑顔を向けて
「自分が出来るからって他人も出来ると思ったら大間違いだってことだ。世の中の人間、全てが、川をわたれるわけじゃない」
『……でも、それはいいわけだわ。本当に行いたいのだったらば、どうにかなるはずよ』
「……かもな、だけど、彼らにはもう、そうするだけの理由が無いんだ。……やっぱり、お互いのこと、今はそんなにつよく思っていないんだよ」
 そういってふっと嗤う。
 マオがあからさまに悲しそうな顔をした。
『寂しいね』
「時の流れって言うのはそういものさ」
『……』
 マオが顔をあげ、何かをいいたげにこちらをみる。
 そして、
『隆二も、……心変わりしたの?』
 ぼそりと呟く。
 それが何をさしているのか瞬時に思い当たり、天井を睨んで嘆息した。どうしてすぐにそちらに話を持っていくのか。
「さぁな。昔とまったく同じっていうわけじゃないさ」
『ふーん』
 相変わらず悲しそうな顔で呟く。
『じゃぁ、……いいや、なんでもない』
「……言っておくが、必ずしも悪い意味で変わったわけじゃないからな。説明しづらいけど、茜のことを……、大切に思っていないわけじゃなくてな、でも、まぁ色々と。っていうか、お前も放り出したりしないからそう言う顔するな」
 そういって、居候猫の顔を強引に笑みの形にする。慌てたマオが、離れようとして転んだのに笑う。
『……』
 転んだまま、床の上でこちらを見てくる。
 まだなんかあるのか。
「なんだよ」
『……ありがとう』
 ぼそりとつぶやいた。
 そのまま、また顔を赤くして、するりと床の下に潜ってしまう。あきれて笑い、先ほどどおり残った珈琲を飲もうとして、
『隆二』
 床から首だけを生やした状態で、マオが言った。
『あの二人が、お互いのことをまた好きになるのにはどうしたらいいのかなぁ?』
 そんな事知るか。
 脳内にそんな言葉が浮かんだが、なんだか信頼しきった目でこちらを見てくる居候猫にそんなことは言えず、だからといって解決案が出てくるわけが、無論なく
 結局、
 そんなもの、
「短冊作って祈っておけ」
割と気に入ってる
    23:21 | Top
 
 
プロフィール
 
 

小高まあな

Author:小高まあな
FC2ブログへようこそ!

 
 
最新記事
 
 
 
 
カテゴリ
 
 
 
 
月別アーカイブ
 
 
 
 
リンク
 
 
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。