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表立って載せるほどではない小噺と、あとがき。 その他キャラ設定などなど、徒然なるままに書き連ねるページ。 

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FDからでてきたもの

フロッピー漁ってたら、消えたと思っていたデータが出てきたのでここに載せてみる。
賢治との再会エピソードのあれ。

 **

「沙耶?」
 道端でかけられた声に振り返る。連れは数歩先に進んでから、同じように立ち止まって振り返った。
「……賢」
 声をかけてきた人物を見て呟く。
「やっぱり沙耶だー、久しぶりー」
 貴方は、昔と何ら変わらない軽薄そうな笑みを浮かべて、片手を振ってきた。そのまま人ごみを抜けて、こちらに歩いてくる。
 昔と同じ間合いをとって立ち止まる。腕を伸ばしてとどこか届かないかのぎりぎりの距離。
「元気してた?」
「……ええ。賢は……」
「無駄に元気ー」
 高校時代と何ら変わらないその能天気さを装った声で、貴方は言う。
 あの時はどこか幼かった顔もすっかり大人びて、かっこよくなっていて。そう、こんなシチュエーションでの再会じゃなかったら、あたしは貴方とやり直してたかも、なんて思わせる。
「……沙耶」
 ああ、でも、なんて最悪なシチュエーション。
 本日の連れ、榊原龍一が斜め後ろから声をかけてくる。あたしの肩越しに貴方、堂本賢治を睨んでいるのが痛いほどわかります。龍一の険悪な視線に気づいているのかいないのか、貴方はやっぱり軽薄そうな笑みを浮かべたまま
「そちらさんは? あ、新しい彼氏?」
 いきなり、急所を突いてくる。彼氏ではありません、そんな甘い関係じゃありません。一応は。
「違う」
「彼氏、若いねぇ。年は?」
「聞け、人の話を」
 貴方があたしの話を聞かないのなんていつものことだけど。後ろで龍一がますます不満そうな顔をしているのが見なくてもわかる。
「17ですが……」
 ああ、だって、普段丁寧な物腰の龍一にしては珍しくつけどんどんな言い方。
「17!? ってことは高三? いいねぇ、わかいねぇ。どうだい、彼氏。お兄さんに誰かクラスメートの女の子を紹介して」
「黙れ、ロリコン」
 不穏当な発言をしだした貴方をとめると、案の定傷ついたような顔をしてきたけど、今更騙されない。
「ひどいなぁ、沙耶」
「うるさい。あんた高校生に手をだしていいと思ってるの?」
「いやさ、今からつばをつけてさ。っていうか、自分はどうなのさ」
「彼氏じゃないって言っているでしょ?」
「そうなの? 少年」
「……ええ、まぁ」
 龍一の声は酷く不満そうで、
「ふ~ん」
 貴方も納得していない様子。
 だけど貴方はすぐに、
「あ、じゃぁ、沙耶が紹介して」
「はぁ?」
「いやさぁ、俺、沙耶と別れてから彼女出来なくってさぁ。あ、沙耶もしかして、なんだかんだいって俺のことがおしくて呪いかけたでしょ? 別れたとき? もう、やだなぁ、巫女姫様ってば」
「するか、そんなこと。寝言は寝てから言え。っていうか、その呼び名は」
「ああ、嫌いなんだっけ? いいと思うんだけどなぁ、俺は」
 最後の言葉には少しだけ、懐かしさで泣きそうになりました。だって、貴方の口癖だったから。もちろんそんなこと、絶対言ってやらないけど。

「……沙耶?」
 龍一が少しだけ怒気を含んだ声で名前を呼ぶ。
「何だい、少年」
「あんたは黙ってなさい。何?」
「そちらの方は?」
「ん、ああ。堂本賢治。高校の時のクラスメート」
 無難に紹介文をまとめたけれども、
「で、沙耶の元彼で~す」
「賢!」
 あっさりと貴方はなかったことにする。
「そんなにむきにならないでもいいじゃん~。彼じゃないんでしょ、少年。あ、友達以上恋人未満? そうかそうか、そしたら少年、女を見る目が」
「賢、いますぐその無駄におしゃべりな口を閉じなさい」
 これ以上不穏当な発言を貴方する前に、あたしはぴしゃりと言ってやった。

 そうなのです、だから最悪のシチュエーション。
 昔の恋人と道端で再会するだけでも下手なドラマみたいで恥ずかしいのに、それがまさしく“友達以上恋人未満”な関係の人と映画を見た帰りだなんて。しかも、あたしが結論を出し渋っているからこの関係で、相手の龍一の方は“好き”という気持ちを素直に伝えてくれている関係だなんて。
 本当、最悪のシチュエーション。

「……そんなのいたんだ」
 龍一がボソッと呟く。それはそれで聞き捨てならない。
 あたしももう23歳で、恋人の一人や二人ぐらい過去にいたっておかしくないわけで、というか今居ないのもおかしいと思うのよ。……意図的にそういう関係を排除しているから話は別だけど。
 そんなことを思っていたら、あっさりと貴方があたしの気持ちを代弁してくれました。ちょっと癪。
「ちょっと、それは聞き捨てならないなぁ、少年。そんなのときたか。っていうかこうみえて、高校時代沙耶はそこそこもててたんだぞ。憧れの的だったんだ。神秘の巫女姫様って、なぁ?」
「なぁ? じゃなくて。あたしは黙りなさいって言ったわ」
 癪らしいのと気恥ずかしいので無愛想にそういう。
「黙りなさいと言われるとしゃべりたくなるのが人情ってもんだ」
「何よ、それ」
「それでだ、人をこんなの言うな、少年よ。確かにたった半年で捨てられたがな、俺」
 そこで少しだけ哀愁に満ちた目をするのは狡いと思う。まるであたしが悪者みたいじゃない。大体、事実と違っている。
「嘘つかないでよ、捨てられたのはあたしだわ」
 思ったよりも強い口調でそういうと、龍一がぎょっとしたような顔をした。
「なによ」
「……いや。ただ」
 小さい声で続ける。
「沙耶の口からそんな言葉が出るなんて思わなかった」

 **

追記で別バージョン
 **

「評判以上に面白かったわね」
「うん。最初はキャストに難がある気がしたけど、意外とはまり役だった」
「原作が有名だと難しいわよね」
その日見た映画の感想を言い合いながら、龍一と沙耶は大通りを歩いていた。

「沙耶?」

後ろから名前を呼ばれて、立ち止まる。一瞬、期待に胸が躍る。ゆっくりと振り返ると、そこには見慣れた顔があって、沙耶は少し微笑んだ。
「……賢」
「やっぱり、沙耶だぁ。久しぶり。元気そうで」
 賢治が楽しそうに片手を振りながら、人ごみを抜けて近づいてくる。
「……賢もね」
「うん、無駄に元気~」
 変わらない少し軽い笑顔が懐かしい。
「そちらさんは? あ、新しい彼氏?」
 沙耶の後ろで事の成り行きを見守っている龍一を見ながらたずねる。
「違う」
「彼氏、若いねぇ。年は?」
「聞け、人の話を」
「17ですが……」
「17!? ってことは高三? いいねぇ、わかいねぇ。どうだい、彼氏。お兄さんに誰かクラスメートの女の子を紹介して」
「黙れ、ロリコン」
 不穏当な発言をした賢治を睨み、言う。相手はあまり気にしていないような軽い口調で答えた。
「ひどいなぁ、沙耶」
「うるさい。あんた高校生に手をだしていいと思ってるの?」
「いやさ、今からつばをつけてさ。っていうか、自分はどうなのさ」
「彼氏じゃないって言っているでしょ?」
 こめかみを指で押さえるしぐさをしながら、呆れたようすを装って呟く。
「そうなの? 少年」
「……ええ、まぁ」
 答えた龍一はどこか不機嫌そうだった。不機嫌の理由はわかるのだが、こちらにそんな目をしてもしょうがないじゃない、と沙耶は思う。恋人じゃないのは紛れもない事実だし、とりあえず。
「ふ~ん。あ、じゃぁ、沙耶が紹介して」
「はぁ?」
「いやさぁ、俺、沙耶と別れてから彼女出来なくってさぁ。あ、沙耶もしかして、なんだかんだいって俺のことがおしくて呪いかけたでしょ? 別れたとき。もう、やだなぁ、巫女姫様ってば」
「するか、そんなこと。寝言は寝てから言え。っていうか、その呼び名は」
「ああ、嫌いなんだっけ? いいと思うんだけどなぁ、俺は」


 “巫女姫様”って誰ですか? 何ですか、この状況は? 誰ですか、その人は?
 楽しそうに話す二人を眺めながら、龍一は頭の中で疑問をひたすら投げかける。
 沙耶への好意が一方通行であるのはわかっているし、向こうがそれを悪く言ってしまえば“利用”していることも納得している。むしろ、自分の好意に頼ってくれていることは素直に嬉しい。
 だからたとえ沙耶がこちらのことを憎からず思っていても、それを恋人同士と呼ばないことはわかっている。だからそのことが不満なわけじゃない。少しだけ苦しいけど。
 腹立だしいのは、この沙耶のことを自分の知らない呼び方で呼ぶやけにノリの軽い男であり、普段心を開いていないものに対して決して笑みを見せない沙耶があっさりと笑みを見せていることである。


「……沙耶?」
「何だい、少年」
「あんたは黙ってなさい。何?」
「そちらの方は?」
「ん、ああ。堂元賢治。高校の時のクラスメート」
「で、沙耶の元彼で~す」
「賢!」
「そんなにむきにならないでもいいじゃん~。彼じゃないんでしょ、少年。あ、友達以上恋人未満? そうかそうか、そしたら少年、女を見る目が」
「賢、いますぐその無駄におしゃべりな口を閉じなさい」
「……そんなのいたんだ」
「ちょっと、それは聞き捨てならないなぁ、少年。そんなのときたか。っていうかこうみえて、高校時代沙耶はそこそこもててたんだぞ。神秘の巫女姫様って、なぁ?」
「なぁ? じゃなくて。あたしは黙りなさいって言ったわ」
「黙りなさいと言われるとしゃべりたくなるのが人情ってもんだ」
「何よ、それ」
「それでだ、人をこんなの言うな、少年よ。確かにたった半年で捨てられたがな、俺」
「嘘つかないでよ、捨てられたのはあたしだわ」


「もう、恨んでないから。あたしを捨てたこと」
「まだいうか。捨てられたのは俺だってば」
「違うわよ。確かに別れ話を切り出したのはあたしだけど、別れたがっていたのは貴方でしょ」
「……。」
「ほら、図星」
「俺は、本当に沙耶のことは好きだった。っていうか、本当のことを言うと今でも好きで可能ならば焼け木杭に火がついたりしてみたり」
「でも、怖がっている。違う?」
「……それは……」
「いいのよ」
「……でも! 本当に俺は沙耶のこと怖いと思ってたこと無いし、今では身分不相応だってわかってるけど、でも、あの時は守りたいと思っていて……」
「知っているよ。賢が怖がっていたのは、“巫女姫様”なんでしょ」
「……ああ」
「あたしも怖いもの、“巫女姫様”」
「沙耶……」
「でもね、だからね、恨んでいないのよ」
「俺も、恨んでない。……ああ! っていうか連れていきてぇマジで」
「……あと半年早かったらついていったけどね、きっと。でも、今はこの場所を離れないってきめたの」
「あの少年?」
「……ええ」
「かぁ、うらやましいねぇ。っていうか俺負けたね、完敗」
「何を言って……」
「だっておれ、沙耶にそう言わせたことないもん。そんな顔させたことないもん。結構くやしいなぁ、大人としては」
「……あのねぇ」
「でも、安心した。あのころの沙耶はちゃんとみとかないとどっかいきそうで不安だったんだが、今はそんなこともないんだな」
「……賢」
「じゃぁ、大丈夫だ。心配することない」


「あたし、本当は知っていたの。あの事故、知っていた。……知っていたのに……」
「沙耶……」
「確かめるのが怖くて、本当に、怖くて、だから大丈夫だって自分に言い聞かせて、新聞もTVやラジオのニュースもあのときは見ない振りをしていて、怖くて、そこに、もし、名前があったらどうしようって思ったら、怖くて……」
「……」
「知っていたの、知っていたのに……。だけど、こんなことになるなら、もっとはやく確かめれば良かった。そしたら、もっとはやくどうにか出来たのに……」
「でも、そしたら、……ここにはいなかったんだろう?」
「……それは」
「自分勝手かも知れないけど、俺はこっちの方が嬉しい」
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