表立って載せるほどではない小噺と、あとがき。 その他キャラ設定などなど、徒然なるままに書き連ねるページ。 

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キスの日小話

 唇と唇をあわせる行為のことをキスと呼ぶが、恐らくそれだけでは定義としては不十分である。なるほど確かに目の前のこの女は倒れている女性の唇に唇を押し付けているがこれはキスなのではなく、ただ単に食事の意味を持つ行為だからだ。
 では他に何が必要なのか。愛だとか、そういうものが?
 いずれにしても俺にもこの女にも関係ないことだ。と、思う。思っていた方が世界は平和だ。

『ご馳走様』
 冗談交じりに食事の挨拶はちゃんとしろと言ったのを真に受けて、今日も彼女はそう言う。
「帰るか」
 独り言にも近い言葉を吐き出すと、倒れた女性に背を向けて歩き出す。今、冬じゃないし。
 背中に抱きついてくるのをいつものことと受け流して、我が家へと戻る。
 唇と唇をあわせる行為は食事の意味しかもたない、ある種の人食い幽霊は背中で
『あー、はやく帰らないと見たいテレビが始まっちゃうー』
 とか暢気なことを言っている。別に返事はしない。
 かつて一度、この女にも食事の意味をもたない唇と唇をあわせる行為があって、その相手が自分だったりもしたが、それについては忘れた方がお互いのためだろうと思っているし、仮に覚えていたとしてもそれは到底キスと呼べるものではない。定義に不足があるのだ、そのはずだ。
 そういうことにしておこう。ひとで“なし”の俺たちには到底関係のないことなのである。
『そういえばさ、この前ドラマででぃーぷきすとか言ってたけどそれってなに?』
 そう、だって相手はどうしようもないおこちゃまなわけだし。
「知らん」
 今日もゆるゆるとひとで“なし”な同居生活は続いている。
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