表立って載せるほどではない小噺と、あとがき。 その他キャラ設定などなど、徒然なるままに書き連ねるページ。 

村八分にご用心 あとがき

未だに終わらない八周年記念企画その七。や、やっとここまで……

久しぶりな魔女さん。
上総と亜紀が出会ったお話。
ちょっと上総のキャラを忘れかけてた気も……。
この二人は変人同士とても仲がいいと思います、変人同士(酷い)

上総の制服のポイントはニーハイ。
しかも柄物。でも制服にニーハイって可愛いよねー。
あとはYシャツの代わりにTシャツ着たりパーカー着たりするのも好きです。
ええ、まあ、制服最後に着たの何年前? って世界ですけど(遠い目)

「村八分にご用心」
    22:05 | Top

高層冷血都市

 駅の西口発のバス。
 進行方向に向かって、二人がけの席が並んでいる。
 その、左側の後ろ側から二番目に、二人は座っていた。
 窓際に座っている男性は、窓枠に頬杖つきつつ本を読む。
 連れに言わせれば、車の中で本を読む何て信じられない!! だとか…。
 その連れの女性は、彼の肩に頭を載せて眠っている。
 重たい…とか、色々言いたいことはあるけれど、何しろ彼女は乗り物に弱い。これでもかっ!! というぐらい、弱い。
 具合が悪くなられるよりは、眠っていてくれた方がいいと彼は思っている。

 それはさておき…。

 彼らは今、水族館に向かっている。
 理由は簡単、「ねっ、水族館行かない?」という彼女の一言。
 別に暇だし、水族館は嫌いじゃないから、二人一緒に水族館へ向かう。

「……んにゃ?」
 何だか猫みたいな声をあげて、彼女は顔をあげた。
「どした?」
 本から顔をあげ、問いかける。
「…ん~。今どこ?」
 次の停留所の名前を答える。
「そっか…じゃぁ、あと少し?」
「二つ…だな」
 じゃぁ、起きてよう、と座り直す。
 そんなこと言ったって、どうせ酔うに決まっているんだ。
 後二つだろうとなんだろうと、5分以上乗っていると具合が悪くなるらしい。はた迷惑。
「水族館さ、イルカいるよね?」
「だろうな」
「私、イルカ好き」
「それはもう、何回も聞いた。耳たこ」
 そういわれて、むぅっとふくれたが、彼の手元を覗き込み問う。
「何読んでるの?」
 彼は、読んでいる本のタイトル……ミステリーの女王と呼ばれた作家の作品を言う。
「うわ、そんなの読んでるんだ」
 顔を思いっきりしかめる。
「それ、全世界のミステリーファンに失礼だぞ」
 苦笑して、彼は言う。
「あはははは」
 困ったように、彼女も笑う。

 日常。

 幸せは、すぐに壊れると誰かが言った。
 ああ、その通りだな…、と彼は思った。

 バスから降りて、大きく彼女は伸びをする。そして、げんなりしたように呟いた。
「ふぇ……、気持ち悪い…」
「寝てた方がよかったんじゃねぇの?」
「……そうだけどぉ……」
 ともかくっと、彼女をバス停のベンチに座らせて、近くの自動販売機へと走る。
 ちなみに、彼女は炭酸が飲めない。…難儀な奴だ。

「?」
 お茶を片手に戻ってきて…、驚いた。
 バス停の周りには、人だかり。
 道路に止まっているパトカー及び、救急車。
 無理矢理人だかりをくぐる。

 かしゃんっ……

 缶が落ちる。

「……」

 紅。

「っ。おい!!」
 救急隊員が止めるのも関わらず、彼は彼女に駆け寄る。

 紅。
 紅く染まって……。

「おい…」

 通り魔殺人だと、無機質なTVは言った。
 犯人は、あっさり捕まったとも言っていた。

 それがなんだ?

 彼女が帰ってこないのは、誰の目にも明白で……。
 仕事も、ここ一週間休んでいる。
 そろそろ、上司が文句を言ってくることだろう。
 就職難で、せっかく見つけた仕事なのだから…辞めるわけにはいかないが、仕事に出たくはない。
 写真立ての中では、時間が止まっていて…、けれど現実にあるのは、空しい空白感のみ。

「彼女に会いたいですか?」
 誰かが問いかけてくる。
「ああ、あえるものならば」
 それが誰かと言うことは、一切気にせず投げやりに答える。
「例え、そのために……何を犠牲にしても?」
「そうだな」
「…わかりました」
 そこで、初めて彼は後ろを向く。
 ベランダに、黒い服に身を包んだ少女が立っていた。
 名前もわからぬ青い石が、服の裾についている。
 片手に木の杖の様な物をもっていて、それにも数珠のようにつなげられた石がまかれている。
 肩には黒い鳥、足下には黒い猫。
 死神のようだ…と、彼は思う。
「君は?」
「……。人は、魔女と呼びます」
 彼女は、淡々と答えると、
「もう一度聞きます。彼女に会いたいですか?」
「ああ」
「そのためならば、例え…何を犠牲にしても構いませんか?」
「ああ」
 そういって、彼は、椅子に座り直す。
「馬鹿だと思ったか?」
「いえ」
「不思議だな。…君のような…自分を魔女だと言い張る人間にあって、変だと思わないなんて…。いや、それとも…幻をみているのかな?」
 そういって、彼は自嘲気味に笑う。
「それは、ご主人様を愚弄しているのですか?」
「おい、てめぇ、どういうことだ?」
 鳥と猫が、口々にそういう。
「ファントム、シャドー。やめなさい」
 それを、少女が制した。
「私は本物ですし、きっと貴方のその態度は…人として当たり前かもしれません」
「…もう一度聞くが…、君は本当に魔女なんだね?…あの、箒に乗って空を飛ぶ」
「発想貧困」
 ぼそっと、猫が呟いた。
 少女は、猫の頭を杖で叩くと、
「箒で空は飛びませんが、魔女です」
 きっぱりとそういう。
「…じゃぁ、彼女を生き返らせてくれるかい?」
「それは出来ません」
 これまた、きっぱりという。
 ため息をついた彼に、再びきっぱりという。
「けれど、時間を戻すことなら出来ます」
 そこで一回、区切り。
「…やりますか?」
「ああ」
「本当に?」
「ああ」
「…わかりました」
 ため息ともとれる吐息を吐くと、彼女は杖を掲げた。
 鳥が彼女の肩から離れ、猫も数歩後ろに下がる。
 彼女は、その杖で…空中に何かを書いた。
 彼は、目を凝らしてそれを見る。
 数珠の青い残像が残り、かろうじてそれが読めた。
「STRAY SHEEP」…迷える子羊。
 青い光が部屋を包み…、彼は目を閉じた。

 目を開けた。

 そこは、バス停だった。
 彼女が、大きく伸びをしていた。

 過去。

「…。」
 彼は、しばし固まって……、彼女の手を引いて歩き出す。
「え? 何?」
「早く行こう。水族館」
「え……」
 彼女は、気持ち悪そうに喉を押さえつつ、彼を見る。
「…。…どうしたの? 何怒ってるの?」
「いや、…怒ってなんかないさ」
 そこで、彼は我に返り、彼女の目の高さに視線を合わせる。
「水族館に行く前に、喫茶店で休んでいくか?」
「…ん~、いいや。このまま直行でも」
 そういって、彼女は彼の腕にくっつく。
「じゃぁ、行こう」
 そのまま二人で歩き出した。


「ご主人様」
「主」
 少女に声をかけたのは、二人…いや、二匹同時だった。
「何?」
 少女は、彼らを振り返らない。
「そろそろ行きませんと」
「誰か来るぜ?」
「…わかってる」
 そういうと、杖についている石を、1つ握る。
 ころん…
 それは、あっさりと外れ…、けれど色は紅く濁る。
 それを少女は、彼の手に握らせる。
「…すみません、…こんなことしかできなくて」
 彼は…眠っていた。
 椅子に座って、机に突っ伏して。
「…私は……、基本的に…、大人には見返りを求めるんです。…子供の味方なので」
 片膝をつき、…騎士が主にするように頭を下げる。
「貴方が…、まだ10代だったのならば、私も…無報酬で助けたのですけれど」
「ご主人様」
「主」
 これまた、二匹同時に声をかける。
「…わかってる」
 やはり、彼らを振り返らずに、そう言うと、杖で床に何かを書いた。

「STRAY SHEEP」…迷える子羊。
 その横に…書き加える。
「TIME IS SOUL」…時は魂なり。
 その下に
「INFINITY」…無限大。
 少女が彼からもらったのは、時間。
 それも有限である時間。
 だから、彼は永遠に…無限大の時間の中を生き続ける。

「…どうして…、人は幻想にとらわれるんだと思う?」
 少女は、二匹を振り返り問う。
「きっと、意志が弱いのでしょう」
「そうでもなきゃ、生きていけねぇんじゃねぇの?」
 何事でもないかのように言う彼らを見て、少女は…少し、悲しげに笑った。
「そうね、でもね。ファントム、シャドー。私は…」
 そこで口をつぐみ、窓から下を見下ろす。
 高層ビル。
 豆粒大の人。
 例え誰かが、いなくなっても…きっと、気にもとめないだろう。
「私も……」
 そこで、手すりの上に立つ。
 音もなく、猫が少女の肩に乗り、鳥が少女の背中にくっつく。
 そうすると、少女の背中に…漆黒の羽が生えた。

「私も…、魔女である以前に…人なのよ?」

**
 一番最初に書いた魔女。
 設定がいまとは違うのだった(当時、中学生だった。私も、上総も)

追憶(小噺)

 午後四時半。
 時計はそう言っていた。

「相模様」
 彼の忠実なる使い魔が、声をかけてきた。
「今日は上総様のところへ行かないのですか?」
「ん、ああ」
 ぼんやりと机の上に頬杖をついていた相模は、気のない返事を返した。
「相模様?」
 いつも冷静だの冷酷だの冷徹だの言われている主人の、らしくない反応にシオンは首を傾げる。
「いかがなさいましたか? お体の具合でも悪いのですか?」
「いいや」
 相模は目の前に置いた夕日色した液体を眺めながら答える。
「ただ、少しばかり考え事をしていてな」
「考え事、ですか?」
「ああ」
 グラスを持ち、その液体を軽く揺らす。
 波が立つ。
「なぁ、シオン。僕が長になってから何年が経つ?」
 シオンは少しの間目をつぶり考え、答えを出す。
「312年と3ヶ月と10日ですね」
「細かいな」
 使い魔の正確な答えに、思わず相模は笑う。
「何もそこまで正確に出すことはなかったのに」
 そう言うと、笑いをひっこめ夕日色をした液体を飲む。
「こんな時間からお酒を飲むことはおすすめしかねます」
 シオンはあくまで控えめに言う。
「酔えないんだ。水のようなものだよ」
 自嘲気味に相模は嗤う。
 シオンは何も言わない。
「なぁ、シオン。もう300年以上も経ったんだ。はやいものだな」
「……そうですね」
「僕もいい加減隠居して暮らしたいものなんだがなぁ」
 ため息混じりにそう言うと、グラスにもう一度夕日色した液体を注ぐ。

「……なぁ、シオン。彼女が消えてからもう20年ぐらい経って、彼女の子どもも、今16。はいやもんだよなぁ」
「相模様。失礼な言い方ですが、年寄りじみた言い方ですよ」
「はは。そうだな。だが、僕ももう300年以上生きてるんだ。年寄りだよ。」
 そう言って、2杯目に口をつける。
「あと、どれぐらいこうしているんだろうな」
 シオンは何も答えなかった。

「シオン」
「はい」
 相模は振り返り、滅多に見せない優しげな微笑みを浮かべた。
「いずれにしても、君はこうして僕の記憶からこぼれ落ちそうなことまで覚えていてくれ」
 シオンは鼻先を地面につけるようにして頭をさげた。
「おおせのままに」


 グラスを空にする。
 そうして相模は立ち上がった。
「さて、上総ちゃんのところへ行こうか」
 そうやって口元に冷ややかな笑みを浮かべたのは、シオンのよく知るいつも通りの主だった。
「はい」

**
古すぎて誰だこれ

薔薇(小噺的断片)

 つくづく親子だなぁ、と思う。
 可愛い薔薇のアップリケをつけたスカートで上総ちゃんはぱたぱた走り回っている。シャドーとファントムと追いかけっこのようだ。
 僕に気づくとこちらに走ってきた。
「おはようございます!」
「おはよう、それどうしたの?」
 スカートのアップリケを指す。
「んっとね、このあいだ、おのぼりしてたらひっかけちゃったの。あなあいて、せんせーがつけてくれたの」
「幼稚園の? 可愛いね」
「ありがとー」
 上総ちゃんは嬉しそうに笑う。目と口がかかれてデフォルメされたその薔薇は、裾の方で踊っている。
「好きなの、薔薇?」
「ばら?」
「そう、このお花」
「うん!」
 大きく頷く。
「そっか」
 僕は笑うと彼女の頭を撫でた。
「上総ちゃんのお母さんの使い魔の名前」
「つかいま?しゃどーとふぁんとむ?」
「そう。お母さんはシャドーと同じ猫だったんだけどね、その名前がロザリーっていうんだ」
「ろざりー?」
「薔薇っていう意味。お母さんも好きだったんだよ、薔薇が」
「わー、じゃぁ同じだね!」
「ああ」
 僕は微笑んだ。
 まったく、こちらが困るぐらいよく似てる。

「……相模様」
 恐る恐るといった体で声をかけてくるのは
「あ、おばさま」
 武蔵の側の老いた魔女。今は上総ちゃんの世話係。
「子どもを公園で一人にしておくとは感心しないな」
「あ、はい、すみません」
「気をつけないと、武蔵はこの子を溺愛してるよ。知ってると思うけど」
「はい、それはもう……」
 世話係があまりにも素直に肯定するから、あいつはきっと僕の予想よりも甘やかしているのだろう。まったく、あいつは……
「このことは武蔵に黙っておこう。僕がここに来た話もしないように」
「はい……」
 僕は上総ちゃんに向き直ると笑顔を作った。
「じゃぁね、上総ちゃん」
「はい!」
「僕と会ったことは武蔵には」
「ひみつでしょ。ないしょ」
 上総ちゃんは人差し指を口に当てて笑った。
「そう、いい子だね」
 もう一度頭を撫でると彼女はまた笑った。


 あのときの話を、今の上総ちゃんが覚えているのか、僕は知らない。
 彼女はどんどん、母親に似ていく。
 相変わらず、彼女も薔薇が好きである。
    10:28 | Top
 
 
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