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表立って載せるほどではない小噺と、あとがき。 その他キャラ設定などなど、徒然なるままに書き連ねるページ。 

ウロボロス

特殊状況下連れ人の時間軸での円の誕生日話でーす!
5/6は円の誕生日らしいよ!

 **

甘い声

調律師カテにしてるけど、特殊状況下連れ人の時間軸です。
翔と円。微エロ?注意(なぜ、私はこんなものを書いたのか(主人公カップルの話とかすら脳内にしかないのにな(いや、なんかこの二人がどうなってるのか我ながら不思議で形にしないと掴みきれないところあったから(言い訳たらたら

 *****

結婚しないの?

調律師後日談的な話なので、そのつもりで読んでね。
本編終了から四年後のお話。

ロー内恋愛第三章後の小話

「この前、西園寺さんとあった」
 榊原龍一からそう聞いた巽翔は、へーと呟いた後、最も適切だと思われる問を発した。
「相変わらずだった?」
「いや、予想外に落ち着いててびっくりした」
 そこでお互い笑う。
「今のはかなり失礼だったな」
「うん、大学だって卒業してるのに。そりゃあ、変わってるわな」
「今、なにしてるんだって?」
「それがさ、驚くなよ?」
 ひと呼吸置いて、
「法科大学院生だって」
 翔はしばし宙を見つめ、
「……それってあれか、司法試験の」
「そうそう」
「西園寺さんが?」
「うん、弁護士だって」
「西園寺さんが……」
 そのまま黙る。
 それを見て龍一は少し笑う。
「そういう反応になるよな」
「ああ。失礼だが、かなり意外だった」
「なー」
「まあ、成績はよかったしな、彼女」
「……行動がぶっとんでただけでな」
「……ああ」
 高校時代を思い出して、ちょっとだけ沈黙。
「まあ、彼女なら大丈夫だろう」
 その沈黙を破って翔が言った。
「その根拠は?」
「あれだけ榊原の血も涙もない対応に負けずに」
「まて、誤解を招くような言い方をするな」
「果敢にアタックし続けたんだ。執念はあるだろうし、その努力がそろそろ実を結んでもいいころだろう」
「……いいこと言ったっぽいけど、最後ちょっと失礼だったな。なんで、今まで成功してない設定なんだよ」
「してると思うのか?」
「いや、特に恋愛は……。あー、でも」
 首を横にふりかけて、少し言い淀む。
「……何」
「前よりは落ち着いてたし。それにうん、ちょっと大人っぽくなってたし、成功してるかもしれないな、と思って」
 龍一の言葉に翔は、少しだけ口元を楽しそうにゆるめると、
「なるほど? ああ、なんであの時袖にしてしまったんだろうと、後悔している訳だな」
「それはない」
 あっさり言われた。
「沙耶さんが一番って?」
 力強く龍一が頷く。
「……惚気」
 ぼそり、と翔は呟いた。
「あー、じゃあさ、沙耶さんにもすればいいじゃないか。西園寺さんに会った話。沙耶さんだって面識ないわけじゃないし。それでもやっぱり君が一番だったよ! って」
 芝居がかった翔の言葉に、ため息をつく
「……なんだかんだで、巽もキャラ変わったよなぁ」
「一海の女王のご指導ご鞭撻のおかげでね」
 翔は小さく笑った。
    23:19 | Top

バレンタイン

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 鏡を見る。
 前髪を直す。リップを塗り直す。スカートの丈を直して、タイは綺麗に対象になるように。
「よしっ」
 鏡の前の自分に、気合いをいれた。

 身支度を終えてトイレから出ると、教室のドアをあける。
「はよー、杏子」
 もう来ていたこずちゃんが、共犯じみた笑みを浮かべてくる。
「おはよう」
 それになんとか笑いかける。
 彼、はもうそこにいた。
 半月ぶりぐらいだ。久しぶりに見る。なんだかちょっと、大人っぽくなった気がする。気のせいかもしれないけれど。
 高校最後の年。学校が家庭研修に入ってしまって、半月たった今日、予餞会の日。バレンタイン。そして彼の、榊原龍一君の、誕生日。
 深呼吸。
 クラスメイトと楽しそうに話している榊原君。会話が終わったころを見計らって、
「おはよう! 榊原君!!」
 できるだけいつもと同じように声をかけた。
 榊原君はこっちをみると、
「おはよう、西園寺さん」
「あ、あのね!」
「ん?」
「今日、終わったら! ちょっと、時間、いいかな?」
 榊原君はちょっとだけ驚いたような顔をしてから、ふっと笑った。
「うん、わかった」
「あ、ありがと。じゃあ、終わったら!」
 それだけいうと逃げるように席につく。はー、疲れた。緊張したぁー。
 ちらっとみるとこずちゃんがにやにやと笑ってこっちを見ていた。もう!

 予餞会、楽しみにしてたけれども、結局なに一つ頭に残らなかった。
 はやく終わって欲しいような、そうでもないような。
 今日が終わってしまうと、榊原君にはあと二回しか会えない。卒業式の予行練習の日と、卒業式の二回だけ。
 でも、そんなの嫌だから。
 だから。

 今日、榊原君に告白するのだ。


 屋上に続く階段の踊り場。屋上は立ち入り禁止だから、ここにはめったに人が来ない。
 SHRが終わったあと、榊原君をここに呼び出した。
「ごめんね、呼び出して」
「ううん」
「あのね」
「うん」
 ぐっと気合いをいれると、榊原君を見つめた。
「これ、バレンタインと、誕生日プレゼント」
 言いながら、作って来たお菓子を差し出す。できるだけ、笑って。
「こずちゃんに、手伝ってもらったから、味は、平気」
 榊原君は困ったように笑ったまま、受け取らない。
 話がまだ終わってないのを、わかっているからだろう。
「あのね」
「うん」
「キョウちゃん、ううん、あたし、榊原君のことが好きです。卒業式で終わりじゃなくて、できたらこのあともずっと、会いたいです」
 沈黙。
 あたしはお菓子を差し出したまま。
 榊原君はあたしの顔をじっとみて、顔をゆっくり横に振った。
「受け取れない、ごめん」
 彼は一歩、後ろにさがる。
「……だよねぇー」
 あたしは笑って、頑張って笑って、持っていたお菓子を手元に引き寄せた。

 榊原君には、好きな人がいる。
 そんなこと、知っていた。
 知っていたけど。
 それでも少し、期待していた。

「えへへ、ごめんねー。困っちゃうよねー」
「ごめん」
「ううん、キョウちゃんじゃなくて、あたしが悪いからー」
「そうじゃなくて」
 榊原君は真面目な顔をしていた。
「今までずっと、西園寺さんの好意には気づいてて、曖昧な態度をとったりしてて。沙耶のこと、西園寺さんだって知ってるのに。沙耶のことで落ち込んでるときに励ましてくれたこと、本当にありがたく思ってる。甘えてた。ごめん」
「ううん」
 泣きそうになるのを耐える。
「気持ちは嬉しい。ありがとう」
 そうして榊原君は笑った。
 今まで、あたしには見せてくれなかったようないい笑顔で。優しい顔で。
「……一個だけお願いしてもいい」
「なに?」
 唇を一度噛むと、顔を上げて微笑んでみせる。
「その人と幸せになってね。幸せにならなかったら超怒るから!」
 超超怒るから! って続けると、榊原君は一瞬顔をしかめてから、少し笑顔になって頷いた。
「ありがとう」
 

 榊原君と別れて、教室に戻ると、
「……こずちゃん」
 こずちゃんが待っていてくれた。
「おつかれ」
 こずちゃんが笑う。
 それから、手に持ったままのプレゼントを見て、
「せっかく、美味しくできたのにねー」
 ちょっといつもより優しい声で呟いた。
「……うん」
「あとでわたしが食べてあげるから」
「……うん」
「杏子」
 優しく名前を呼ばれる。
 耐えられなくなって、しゃがみ込む。
 こずちゃんがゆっくり近づいてくる。
 上履きにかかれた海藤の文字が滲んで見える。
 優しく頭を撫でられる。
「杏子」
「うん」
「おつかれさま」
「……うん」
「ハッピーバレンタイン」
「うん。……こずちゃん」
「なに?」
「卒業式、笑ってでようね」
 こずちゃんは一瞬戸惑ったように黙ってから、
「そうね」
 優しく答えてくれた。

 榊原君が好きな人がいるのは知っていた。
 だから、大丈夫。
 わかっていたから。
 次に会うときは、最後に会うときは、ちゃんと笑っているから。
 だから、
「幸せにならないと、超怒るんだからっ」 
    21:42 | Top
 
 
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